プロジェクト開発におけるデザイナーの役割 プロトタイプについて

こんにちは、ALTURA X株式会社のデザイナー丸尾です。
気づけばそこそこのおじさんになりつつも、絶賛成長中です。
 
スタートアップ企業におけるデザイナーが果たす役割とはなんなのか、今一度言語化して自分の頭を整理しようと思います。
今回はプロトタイプの話をしようと思います。

前提として

サービスを提供するうえで、どんな課題を解決できるものにしてユーザーに届けるのか。
まず企業(自社)が掲げる大きなビジョンやミッション、バリューがありますよね。
そこから社会に対して、我々ができること、実現したいことをさらに粒度を細かくし、健在している課題を見つけ、それが世に求められるものなのか、ビジネスとして成り立つのかなどの観点からアイデアを見つけていきます。
ある程度のアイデアを練り、実際にユーザーインタビューで仮説検証をしていきます。
この時重要なのは、とにかく自分の考えは口にせず聞くこと。誘導尋問は厳禁。自由に回答してもらうこと。
そうしてインタビューを繰り返し、ユーザーにとって本当に価値のあるアイデアにアップデートするわけです。

プロトタイプの重要性

アイデアがより確信的なものになれば、開発を進めていくことになります。
開発コストは、とてもかかります。
でも私たちはスタートアップ企業です。あの手この手で資金調達はしても限界はあります。 その中でスピードをあげ、より確かなものを低コストで開発するためにプロトタイプがあります。

プロトタイプとは

プロトタイプとは、実際にプロジェクト開発に着手する前に必要最低限の試作品を作ってユーザー検証することをいいます。
リリースされたものと同等の擬似体験をしつつ、ユーザーからフィードバックを得ながら必要に応じてブラッシュアップし、よりユーザーの満足度を高めるサービスに仕上げることができます。

結果的に成功へ最短。スムーズな開発とコスト低減

アイデアを仮設検証して、プロトタイプでさらにユーザー検証。 時間もかかるし、すごく手間に思えます。
でも、結果これが最短ルートです。
先ほども言った通りスタートアップは、予算にも時間にもリソースにも限界があります。 より早く低コストで確実にユーザーに使ってもらうためには、大きな軌道修正をすることはできません。
そのためにプロトタイプでの検証はとても重要なんです。
また、開発メンバーにも前もってイメージを具体的に伝えることができるので、早い段階から機能や実現の可能性、認識、工数の見積もりなどについてのすり合わせが可能になり、スムーズな開発ができます。

Figmaによるプロトタイプ制作

プロトタイプにはいくつかの種類がありますが、ALTURA Xでは「モックアップ」をFigmaで作成しています。
ALTURA Xのメンバーは基本フルリモートで稼働していますので、FigmaやXDのような共有可能なツールが必須です。
また近年Figmaはアップデートにより、よりリアルなプロトタイプを作成できるので、的確なフィードバックを得るのにとても向いています。
 
このFigmaによるプロトタイプ制作においてデザイナーとして、私が心掛けていることがあります。
  1. ユーザーのリアルを意識してデザインすること(当たり前ですが、なかなか難しい)
  1. スピーディーにデザインすること
  1. サービス全体の使用感の統一を崩さないこと
  1. なるべくシンプルなUIで、エンジニアの負担や工数を減らすこと
  1. 様々な状況を想定すること
  1. 作っていてワクワクすること

1. ユーザーのリアルを意識してデザインすること

これは言わずもがなUXを意識したデザインです。
実際の現場の様子や状況を知らなければ、本当の意味でUXの良いものはできないと思います。 私たちの挑戦している医療業界は、ひっ迫した中で失敗の許されない状況にあるので特に現場を知る必要があると思います。
弊社にはもともと現場にいたドメインエキスパートも在籍しているので、こういった方が身近にいるということはとても心強いです。
ただまだまだここは、磨き続けなければならないなと感じています。

2. スピーディーにデザインすること

できるのであればじっくりデザインを練って、考え尽くしたものをと思うかもしれません。
ですが、このプロトタイプは一度作って終わりではなくフィードバックにより改善を前提としています。
迷い続けるよりも、見て触れてもらい修正することが大事です。 もちろん、すべてのフィードバックを鵜呑みにするのではないですが、自分の思っている常識にとらわれるべきではないでしょう。

3. サービス全体の使用感の統一を崩さないこと

さまざまなフィードバックがあり、ブラッシュアップする中でどうしても汎用的なあまり例のないデザインをしなければならない場合があります。
初期段階ではそこまでブランディングに力を入れられず、プロダクトだけに限らずサービスサイトやCIなど統一感のないものになりがちです。
ただこれは、初期だからこそ信頼性という意味でもデザインの統一感を崩さずに見た目の上でもユーザーにアピールすることは需要だと私は考えます。
例えばあまりにもデザイン性が損なわれている資料やサービスサイトを見た時に、どんなに内容が優れていても良い印象が残らなくないでしょうか。
もちろんリソースも限られているので、どうしてもバランスを取る必要はあります。

4. なるべくシンプルなUIで、エンジニアの負担や工数を減らすこと

スタートアップではエンジニアのリソースももちろん限られています。
デザインは重要ですが、あまりにUXを優先し過ぎてそれを実装するためにエンジニアリングの工数がかかり過ぎたために、サービスのリリースが遅れてしまっては本末転倒です。
なるべく共通のコンポーネントを駆使し、UIデザインはシンプルにすることでフロントエンドの負担を減らすことも重要なポイントになります。
デザイナーとしてはどうしてもユーザーファーストに考えてしまう(これは当たり前で、良いこと)なんですが、こういった観点も企業の状況を考慮してデザインする必要があります。
ある程度デザインが固まってきたのであれば、Figmaでもコンポーネントの機能を利用すれば効率的にデザインをすることができます。

5. 様々な状況を想定すること

もともとWEBサイトなどのデザインを中心に行なってきた私ですが、プロダクトデザインにおいてはサービスの使用状況によって見え方が異なるデザインもしっかりと意識しておかないといけません。
プロトタイプにそこまで落とし込む必要があるのかは賛否両論かもしれませんが、実装をする上でエンジニアの負担を減らすためにもこの観点は常に持っておく必要があります。

6. 作っていてワクワクすること

どうしても1つのサービスをリリースするのには、膨大な時間が必要になります。
デザイナーだけでなくチーム全体として、一つのことに注力することは楽しいことでもあり、時に辛いことでもあります。
チーム全体のモチベーションアップとして、デザイナーができることは「これからこんなデザインのサービスをみんなで作るんだ!できたらスゴイことになるぞっ!」と期待させる、そんなデザインをし続けることだと思います。
なかなか実現は難しいですが、心掛けたい大事なことです。

まとめ

今の状況を理解してその上でどう目標を達成するか、デザイナーだけのことではありませんが、上流工程から下流工程まで関わり続けるデザイナーであればこそ、しっかりと意識しなければいけません。
プロトタイプの作り方や活用、プロトタイピングの方法などはまた別の機会に話せればと思います。
 
さぁ、これを読んだデザイナーの皆さん、どんな時もワクワクを忘れずに楽しんでいきましょー!